Paaramitaasamaasa 波羅蜜の大要
Paaramitaasamaasa(波羅蜜の大要)は、波羅蜜 paaramitaaの6つの菩薩の実践徳目をそれぞれ解説する6章に分かれた、363詩節から成る作品である。
イタリアのA. Ferrari(1946)は<註1>初めてその梵文テキストならびにイタリア語訳を発表し た。Ferrariの基づいた写本は、ネパールのMahaaraajaの王室図書館にあった1写本から、1940年代の始めにG. Tucciの請いにより筆写された写本であった。この新しい写本 1本とチベット訳によって、Ferrariは校訂を行った。梵文写本もチベット訳もコロフォ ンにおいて%SuuraまたはAarya%suuraの作者名をあげる。Ferrariは序文において、Jaatakamaalaaと同一の作者がPaaramitaasamaasaを書いたと主張した。
最近アメリカのC. Meadows(1986)は<註2>、新しい校訂テキストと英訳を出版した。この校訂は、現在カトウマンドウのNational Archivesにありかつて Hemraaj 師の所有品であった、1本の貝葉写本 [K] に基づいたものである。この貝葉写本は完本で、13−14世紀の筆写と思われ、Ferrariが利用した写本の、元本であるらしい。Paaramitaasamaasaの写本 は他に見つかっていないから、この1本のネパール写本によって、現在まで伝えられたと見ることができる。
MeadowsはPaaramitaasamaasaに、Jaatakamaalaaと同一人物の手によるものである証拠を見出せず、結論として、%Saantidevaと同時代の7〜8世紀頃に書かれた作品ではないか、と推測した<註3>。成立年代の下限はチベット訳がなされた8世紀末に置かれる。
Paaramitaasamaasaの内容の詳細な分析は、Meadowsの序論の3章〜5章において行われた。
Paaramitaasamaasaの第1章は、佐藤誠司(1991)によって訳された<註4>。
Tib.:Toh 3944, Ota 5340, N(T)3331
Aarya%suura造 Vairocanarak#sita訳
Skt.MSS.:
BauDV 145(68) = NGMPP A39/2 [=K]
<H>**
Paaramitaasamaasa
註
1) Alfonsa Ferrari(1946): Paaramitaasamaasa.Il Compendio delle Perfezioni" di Aarya%suura, Annali Lateranensi, X, Citt#a del Vaticano, Tipografia Poliglotta Vaticana, pp.9-102.
2) Carol Jean Meadows(1986): Aarya-%Suura's Compendium of the Perfection: Text, translation and analysis of the Paaramitaasamaasa, <Indica et Tibetica, 8>, Bonn.
3) Meadowsのこの結論から、少なくとも3人のAarya%suuraを区別することができる。すなわちJaatakamaalaaの作者であるAarya%suura I、Paaramitaasamaasaの作者であるAarya%suura II、Subhaa#sitaratnakara#n#dakakathaaの作者であるAarya%suura III。この3番目のAarya%suuraは、Hahn(1982)によると、Gopadattaである可能性がある。
4) 佐藤誠司(1991):Aarya %Suura 作『波羅蜜の要約 (Paaramitaasamaasa)』第1章和訳、『論集』18号。
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