4.parikathaa
チベット大蔵経に含まれているparikathaa(説法話)のジャンルの作品については、S. Dietz(1980)の研究があり<註1>、それらの作品名が紹介されている。parikathaaがavadaanaと異なるのは、avadaanaが作者名を持たないのに対して、parikathaaはほとんどが作者名を有することである。しかし作者名を有しつつも、parikathaaはあくまで出家の文学であって、世俗の文学ではないという点で、特殊な文学のジャンルである。作品の多くが、有名な高僧の名において、仏教教理を説き明かすために作られている。
11世紀に仏教がインドで滅び、梵語作品の創作活動の舞台がインドからネパールに移ってから後も、avadaana文献の創作は衰えることなく続けられたのに対し、parikathaaの創作はネパールでは続けられなかったようである。parikathaaの梵語写本は、NaagaarjunaのRatnaavaliiとAacaarya%suuraのSubhaa#sitaratnakara#n#dakakathaaを除いて、ネパール写本としては、他に見当らない。チベットの僧院にあったparikathaaの1写本は、Saa+nk#rtyaayanaによって、報告された<註2>。
註
1) Siglinde Dietz(1980): Die buddhistiche Briefliteratur Indiens, Nach dem tibetischen Tanjur herausgegeben, %ubersetzt und erl%autert, Inaugural-dissertation, Bonn.[公刊:Wiesbaden, 1984, <Asiatische Forschungen, 84>]
2) Journal of the Bihar and Orissa Research Society, Vol. XXIV, Part IV, 1938, p.160 'parikathaa' [57 fols.]
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